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障害年金の申請の流れ|受給要件・7ステップ・必要書類を解説

16分で読める監修: (後から設定)社会保険労務士

この記事のポイント

  • 障害年金には障害基礎年金と障害厚生年金の2種類がある
  • 受給には初診日要件・保険料納付要件・障害認定日要件の3つを満たす必要がある
  • 申請は初診日の確認から審査結果の通知まで7つのステップで進む
  • 審査期間は障害基礎年金で約3ヶ月、障害厚生年金で約3ヶ月半が目安
  • 不安な場合は年金事務所や社会保険労務士に相談できる

障害年金とは

障害年金は、病気やけがによって日常生活や仕事に支障が生じた場合に、生活を支えるために支給される公的年金制度です。「年金」という名称から高齢者向けの制度と思われることがありますが、現役世代の方も受給の対象となる場合があります。

障害年金には大きく分けて以下の2種類があります。

障害基礎年金(国民年金法第30条、1959年4月16日公布)

国民年金に加入している方が対象となる年金です。障害等級1級または2級に該当する場合に支給されるとされています。自営業の方、学生、主婦の方などが該当する場合があります。

障害厚生年金(厚生年金保険法第47条、1954年5月19日公布)

厚生年金に加入している方(会社員や公務員など)が対象となる年金です。障害等級1級から3級に該当する場合に支給されるとされています。障害基礎年金に上乗せされる形で支給される点が特徴です。また、3級に該当しない場合でも、一時金として障害手当金が支給される場合があります。

ポイント

障害年金は、初診日に加入していた年金制度によって請求先や受給額が異なります。ご自身がどちらに該当するかわからない場合は、年金事務所に確認されることをおすすめします。

どちらの年金も、障害の原因となった病気やけがの種類は問いません。身体障害だけでなく、精神疾患(うつ病、統合失調症、発達障害など)や内部疾患(がん、糖尿病、心疾患など)も対象となる場合があります。

なお、障害年金の制度は法改正や運用の変更が行われることがあります。本記事は2026年3月時点の情報に基づいていますが、個別の事情により取り扱いが異なる場合があります。詳しくは専門家にご相談ください。


受給するための3つの要件

障害年金を受給するためには、以下の3つの要件を満たす必要があるとされています。1つでも満たさない場合は、原則として受給が認められません。

1. 初診日要件

障害の原因となった病気やけがについて、初めて医師の診療を受けた日(初診日)に、国民年金または厚生年金の被保険者であることが求められます。

初診日は障害年金の請求において非常に重要な日付です。初診日によって、請求する年金の種類(障害基礎年金か障害厚生年金か)、保険料納付要件の判定基準日、障害認定日が決まります。

2. 保険料納付要件

初診日の前日において、初診日の属する月の前々月までの被保険者期間のうち、保険料納付済期間と保険料免除期間を合算した期間が、全体の3分の2以上であることが求められます(国民年金法第30条第1項)。

ただし、特例措置として、初診日の属する月の前々月までの直近1年間に保険料の滞納がない場合にも、この要件を満たすものとして扱われる場合があります。この特例措置の期限は定期的に見直されていますので、最新の適用状況については年金事務所等でご確認ください。

ポイント

学生時代に学生納付特例制度を利用していた期間は、保険料免除期間として扱われるのが一般的です。そのため、学生時代に年金保険料を納めていなかった場合でも、特例制度を利用していれば納付要件を満たせる可能性があります。

3. 障害認定日要件

障害認定日において、障害の状態が障害等級表に定める障害の程度に該当することが求められます。

障害認定日とは、原則として初診日から1年6ヶ月を経過した日を指します。ただし、1年6ヶ月以内に症状が固定した場合(例:人工関節の置換手術を受けた日、心臓ペースメーカーを装着した日など)は、その日が障害認定日となるケースがあります。

なお、障害認定日の時点では障害等級に該当しなかった方でも、その後に障害が悪化し、65歳の誕生日の前々日までに障害等級に該当するようになった場合は、「事後重症請求」という方法で請求できる場合があります。


申請手続きの流れ

障害年金の申請は、一般的に以下の7つのステップで進みます。手続きには多くの書類が必要となるため、全体の流れを把握してから進めると、スムーズに準備を進めやすくなります。

1

初診日の確認

障害の原因となった病気やけがで初めて医療機関を受診した日を確認します。転院をしている場合は、最初に受診した医療機関を特定することが重要です。記憶が曖昧な場合は、お薬手帳、診察券、健康保険の受診記録(レセプト)などの資料が手がかりとなる場合があります。

初診日が特定できない場合、年金事務所の窓口で相談すると、調査方法についてアドバイスをもらえることがあります。

2

受診状況等証明書の取得

初診日を証明するために、初診時の医療機関に「受診状況等証明書」の作成を依頼します。現在の主治医と初診時の医療機関が異なる場合に必要となるのが一般的です。初診時の医療機関が廃院している場合などは、「受診状況等証明書が添付できない申立書」を作成し、他の資料で初診日を証明する方法もあります。

医療機関のカルテ保存義務は法律上5年間とされています。初診から長期間が経過している場合は、早めに動くことが大切です。

3

診断書の依頼

障害認定日時点(または現在の状態)の診断書を、主治医に作成してもらいます。診断書は障害の種類によって使用する様式が異なり、全8種類あります。事後重症請求の場合は、現在の障害の状態を記載した診断書が必要です。診断書の作成には医療機関ごとに費用がかかり、一般的に5,000円から10,000円程度とされています。

診断書の内容は審査結果に大きく影響します。日常生活の困りごとや具体的な支障を、事前にメモにまとめて主治医にお伝えすると、実態に即した診断書が作成されやすくなるとされています。

4

病歴・就労状況等申立書の作成

発病から現在までの病歴、治療の経過、日常生活や就労の状況を時系列で記載する書類です。この書類は請求者自身(またはご家族等)が作成します。診断書の記載内容と矛盾がないように注意しながら、障害によってどのような支障が生じているかを具体的に記載することが重要とされています。

記載が難しい場合は、社会保険労務士に作成のサポートを依頼することも一つの方法です。

5

必要書類の準備

診断書や病歴・就労状況等申立書のほかにも、戸籍謄本や住民票、預金通帳のコピーなど、いくつかの添付書類を揃える必要があります。請求の種類(障害認定日請求か事後重症請求か)や、ご家族の状況(配偶者や子の有無)によって必要書類が異なる場合があります。

年金事務所で事前に相談すると、ご自身のケースに必要な書類の一覧を教えてもらえる場合があります。

6

年金事務所への提出

必要書類がすべて揃ったら、年金事務所(障害基礎年金のみの場合は市区町村の国民年金窓口でも可)に書類を提出します。窓口で書類の記載内容に不備がないか確認してもらえるのが一般的です。不備がある場合は、修正や追加書類の提出を求められることがあります。

提出前にコピーを取っておくと、審査中の問い合わせや、万が一の不服申立ての際に役立つ場合があります。

7

審査結果の通知

提出された書類は日本年金機構で審査が行われます。審査期間は、障害基礎年金で約3ヶ月、障害厚生年金で約3ヶ月半が目安とされています。審査の結果、認定された場合は「年金証書」が届きます。不支給となった場合は「不支給決定通知書」が届き、この決定に不服がある場合は審査請求(不服申立て)を行うことも可能です。

審査期間中に日本年金機構から追加の資料提出を求められることがあります。速やかに対応すると、審査の遅延を防ぎやすくなります。


必要書類一覧

障害年金の請求にあたって、一般的に必要とされる書類は以下のとおりです。個別の状況によって追加書類が求められる場合がありますので、事前に年金事務所で確認されることをおすすめします。

  • 年金請求書(障害基礎年金用または障害厚生年金用)
  • 診断書(障害認定日以後3ヶ月以内の現症のもの。事後重症の場合は請求日前3ヶ月以内のもの)
  • 受診状況等証明書(初診時と現在の医療機関が異なる場合)
  • 病歴・就労状況等申立書
  • 戸籍謄本または戸籍抄本(発行から6ヶ月以内のもの)
  • 世帯全員の住民票(マイナンバーを届出済みの場合は省略できることがある)
  • 本人名義の預金通帳またはキャッシュカードのコピー
  • 年金手帳または基礎年金番号通知書
  • 印鑑(認印可)
  • 身体障害者手帳・療育手帳(お持ちの場合)
  • レントゲンフィルムや検査結果(医師から指示がある場合)
  • 配偶者の収入を確認できる書類(加給年金の対象となる場合)
  • 子の在学証明書や収入証明書(子の加算の対象となる場合)

申請から受給開始までの期間

障害年金は、申請してすぐに受給が始まるわけではありません。一般的な審査期間の目安は以下のとおりです。

年金の種類審査期間の目安
障害基礎年金約3ヶ月
障害厚生年金約3ヶ月半

ただし、これはあくまで目安であり、書類の不備や審査の混雑状況によって前後する場合があります。

審査で認定された場合、受給権が発生した月の翌月が支給開始月となります。年金証書は認定後1〜2ヶ月で届くのが一般的です。障害年金は原則として偶数月(2月、4月、6月、8月、10月、12月)の15日に、前2ヶ月分がまとめて支給されます。

初回の振込では、受給権が発生した月の翌月分から支給開始月の前月分までがまとめて支払われるため、通常の支給額よりも多い金額が振り込まれることがあります。

なお、障害年金の受給が決定すると、定期的に「障害状態確認届」(診断書の提出)が求められます。提出の頻度は障害の種類や状態によって1年、2年、3年、5年のいずれかのサイクルで設定されるのが一般的です。この届出を怠ると、年金の支給が一時差し止めとなる場合がありますので注意が必要です。障害の状態が変化した場合には、等級の変更(額改定請求)を行うことも可能です。

障害認定日請求と事後重症請求の違い

障害認定日請求の場合は、障害認定日の翌月分から年金が支給されます。過去にさかのぼって請求する場合でも、最大5年分までさかのぼって受給できるとされています。

事後重症請求の場合は、請求日の翌月分からの支給となり、さかのぼっての受給はできません。そのため、事後重症請求を検討されている方は、できるだけ早めに請求手続きを進めることが大切です。


不安な場合の相談先

障害年金の申請は手続きが複雑であり、初めての方にとってはわからないことも多いかと思います。一人で抱え込まず、以下のような相談先を活用されることをおすすめします。

年金事務所

全国に拠点があり、障害年金の受給要件の確認、必要書類の案内、請求書の記入方法などについて無料で相談できます。事前に電話で予約をしてから訪問すると、待ち時間を減らせる場合があります。最寄りの年金事務所は、日本年金機構のウェブサイトや、ねんきんダイヤル(0570-05-1165)で確認できます。

市区町村の国民年金窓口

お住まいの市区町村の役所にある国民年金窓口でも、障害基礎年金に関する相談や請求書の受付を行っているのが一般的です。年金事務所が遠い場合などに利用しやすい相談先です。

社会保険労務士(社労士)

障害年金の申請手続きを専門的にサポートしてくれる国家資格者です。書類の作成代行や、医師への診断書依頼の際のアドバイス、審査請求(不服申立て)の代理など、幅広い支援を受けることができます。

社労士に依頼した場合の報酬は事務所によって異なりますが、一般的な相場として以下のようなケースが多いとされています。

費用項目相場の目安
着手金0円〜30,000円程度
成功報酬年金の2ヶ月分、または初回振込額の10〜15%程度

多くの社労士事務所では、初回相談を無料で行っている場合があります。「自分のケースで受給の可能性があるのか」「どのような書類を揃えればよいのか」といった疑問を、まず相談してみるのも一つの方法です。

ポイント

社労士に依頼するかどうかを問わず、まずは年金事務所の無料相談を利用して、ご自身の状況を整理することから始めると、その後の手続きが進めやすくなる傾向があります。

障害者就業・生活支援センター

各都道府県に設置されている支援機関で、障害のある方の就労や日常生活に関する相談を受け付けています。障害年金の申請に関する情報提供や、適切な相談先への橋渡しを行ってくれることがあります。

法テラス(日本司法支援センター)

経済的に余裕がない方を対象に、無料の法律相談や弁護士・司法書士費用の立替制度を提供しています。障害年金の不支給決定に対する審査請求を検討している場合や、社労士への依頼費用の負担が難しい場合に相談窓口として活用できることがあります。


よくある質問

よくある質問

障害年金は働いていても受給できますか?

働いている場合でも、障害年金を受給できる場合があります。障害年金は障害の状態が等級に該当するかどうかで判断されるのが原則であり、就労しているという事実だけで不支給となるわけではありません。精神疾患の場合は、就労状況が障害の程度の判定に考慮されることがありますが、就労の事実のみをもって不支給と判断されるものではありません。個別のケースによって判断されるため、詳細は年金事務所にご相談ください。

初診日が10年以上前で、カルテが残っていない場合はどうすればいいですか?

カルテが保存期間を経過して利用できない場合でも、診察券、お薬手帳、健康診断の記録、健康保険の給付記録(レセプト)、第三者の証言(受診状況等証明書が添付できない申立書に添付)など、複数の資料を組み合わせて初診日を証明できる場合があります。年金事務所や社会保険労務士に相談されることをおすすめします。

障害者手帳を持っていなくても障害年金は申請できますか?

障害者手帳と障害年金は異なる制度であり、障害者手帳を持っていなくても障害年金の申請は可能です。また、障害者手帳の等級と障害年金の等級は判定基準が異なるため、一致しないことがあります。一方の制度で認定されていても他方では認定されないことも、その逆もありえます。

障害年金の申請が不支給になった場合、再度申請できますか?

不支給決定に対しては、決定を知った日の翌日から3ヶ月以内に審査請求(不服申立て)を行うことができます。また、障害の状態が変化した場合は、改めて事後重症請求や額改定請求を行うことも可能です。不支給の理由を確認し、対策を講じたうえで再請求を検討されることをおすすめします。

障害年金を受給すると、他の福祉制度に影響はありますか?

障害年金は非課税所得ですが、収入として扱われるため、生活保護の受給額が調整される場合があります。また、国民健康保険料や介護保険料の算定には影響しないのが一般的ですが、自治体によって取り扱いが異なることがあります。詳細はお住まいの市区町村にご確認ください。

申請から受給までにかかる期間はどのくらいですか?

書類の準備期間も含めると、一般的に3ヶ月から半年程度かかる場合が多いとされています。審査期間は障害基礎年金で約3ヶ月、障害厚生年金で約3ヶ月半が目安です。書類の不備があると、さらに時間がかかることがあります。


まとめ

障害年金は、病気やけがによって生活に支障が生じた方の暮らしを支える大切な制度です。申請手続きは複雑に感じられるかもしれませんが、一つひとつのステップを順番に進めていくことで、着実に手続きを進めることができます。

本記事でご紹介した7つのステップを参考に、まずはご自身の初診日と保険料の納付状況を確認するところから始めてみてください。わからないことがあれば、年金事務所への相談や社会保険労務士への依頼も検討されると、より安心して手続きを進められる傾向があります。